こんにちは。今日は、昔からの営業活動の常識についての問題提起です。
同じことを考えている人はとても多いと思いますが、なかなか変えられないのが現実ではないでしょうか。
同じ悩みをもつ方々に、少しでもヒントになればと思い、記載します。
1. 営業の現状と問題意識
私がいた営業現場でのことです。
「リスト営業は全数当たらなければ意味がない」「すべてのお客様に提案しなことは不公平」「ローラー作戦で1件でも成果を上乗せする」のような、古の営業手法?が主流でした。主流というより、上司や先輩がそうでした、が正しい言い方ですかね。
私の考えは、時間軸が抜けている(費用対効果が考えられていない)と、何度も伝えるが、なかなか理解されないんだよなぁ・・・。
- そら全件あたったほうが、総獲得数は増えるに決まっているが・・・
- 全件あたるとその分空振りも増える。空振り案件に使った時間と労力はどう評価するの・・・
これを伝えるのが本当に苦労しました。
2. データ分析というほどではないですが・・・
自分で実験しました。いい結果がでました。
【前提条件】
- 過去の獲得データ(お客さま情報)を分析し、「獲得できそうな層」をグルーピング。
- 無作為に100件アプローチした際の獲得件数 40件(獲得率40%)
- 「獲得できそうな層」のみ100件アプローチした際の獲得件数 60件(獲得率60%)
- 会社の獲得率目標 30%(100件中30件)
- 1件当たりのアプローチにかかる時間は、1時間
- 獲得1件当たりの利益 1万円
200件のリストがある場合で、もっとも利益を上げるには、どうするのが一番良い?
①会社施策通り活動(全件アプローチ)した場合
200時間使って、・80件獲得 ・利益80万円 ・1時間当たり利益 4,000円
②データによるアプローチ
100時間使って、・60件獲得 ・利益60万円 ・1時間当たり利益 6,000円
どう考えても②がいいと思いませんか?
時間は50%、利益は75%、1時間当たり利益120% 残りの100時間で他の仕事ができる。
やや恣意的な数値にまとめていますが、だいたいこの通り。
これを上司に理解してもらうのが大変でした。私と同じように考え、苦労している人は絶対に多い。会社全体で何とかしたい。
3.データ分析の壁
有意義な分析をビジネスに使ってもらうためにはいくつかの壁があるといわれています。
●費用対効果の壁
データ分析の効果を金銭的価値に換算することが難しいことが多いということ
●心理的な壁
従来の経験と直感に基づく意思決定スタイルをデータを分析に基づく意思決定に置き換えようとすると担当者の抵抗に遭う。
「KKDの壁(勘・経験・度胸の壁)」ともいわれる。
●データの壁
データ分析に必要なデータが揃うかどうかということ
上記のケースは、どちらかと言えば「KKDの壁」かな。全件アプローチがいいに決まっているとの古の営業戦略(戦略というほどではない)です。
このケースでは、叱られながら何回も実践し、ようやく理解された(なし崩しにもちこんだ)感じでした。
4.これから
今回は、データ分析というほどでもなく、ただの実験から始まっています。
でも、自分なりには、データで会社方針(上司方針?)を変革した一例です。
●データ分析はビジネスに生かして初めて意味がある。
●データ分析とは、データから問題を解明するプロセスである。
の条件をしっかり満たしたと思います。
無駄な時間(空振り案件に対応する時間)を削減したうえで、目標を達成したことにより、営業メンバーのモチベーションも大幅に向上しました。ただ、目標を大きく越えることはなくなったけど良しとしよう。
「データの活用して意思決定を変える」成功例となった、貴重な経験でした。
その可能性を最大限に活用することの大切さを、この記事を通して少しでも皆さんにも伝わると嬉しいです。
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